Q&A

手と足に異常に汗をかきます。

誰にも相談したことがない、私の悩みを聞いて下さい。
私は、手と足に異常に汗をかきます。
みなさんが想像もつかないほどだと思います。
毎日お風呂に入っても、すぐ汗をかきます。
寒いときもだらだらで、特に足は、靴を履いているので、
ムレてとてもにおいます。
どうしたら治りますか?教えて下さい。

非常に重要なポイント

誰にも相談したことのない悩みを打ち明けて今の気持ちはどうですか?
少しは気持ちが楽になりましたか?悩みというものは人に相談した時点で、その半分は解決するといわれますので、半分くらいは楽になったかもしれませんね。

 

でも肝心の悩みの中身である「手と足の汗」についてはこれからの課題です。

どうししたら治りますか。と言う質問ですが、それはあなた次第です。
手と足の汗の治療法を効果的におこないためには、一つ(ひとつだけです)だけ大切なポイントがあります。
今回はまずこれを説明しますのでぜひ頭に入れてください。
大変重要なことなので、今回は非常に長くなります。我慢して読んでください。では始めましょう。

 

実は手と足の多汗症は、手のひらや足のうらに汗腺が多いとか、神経が過敏だというような問題ではなく、心の問題なのです。ですから名前を「精神性発汗」と呼んでいます。
だれでも、驚いたり緊張した時に手のひらが濡れてくるでしょう。これは、太古の昔、人間が木の上で生活していた時や、ヤリや弓をもって狩猟をしていたときに、手や足が適度に濡れて「滑り止め」の役をしていた名残りなのです。手足が乾燥していたら木から滑って落ちてしまいますし、獲物を発見したり、逆にライオンなどに襲われたりした時、ヤリを強く遠くへ投げたり、俊足で逃げたりするときも手足が適度に汗をかいて湿っていた方が有利です。

しかし、現代人は、足には靴を履きますし、野球の選手でもないかぎり強く何かをもって投げるというような行動はほとんどありません。ですから、普通のときに手足に汗をかくということは、現代人には不要となり汗をかくこともだんだんと少なくなってきたのです。
汗をかいたとしても、非常に驚いたり緊張したりしたときのみです。

 

ところが中には、学校へ行ったり、電車に乗ったりという日常生活のごく普通の場面、つまり表面的には何の緊張も感じていない時に、このような汗を異常にかいてしまうことがあります。

 

それは、心の中に「予期不安」という「汗をかくのではないか」「汗をかいたら嫌だなあ」と言った汗を予想する不安を何かのきっかけ(ピアノとか人と握手したときとか)で持ってしまう人がいます。
心の潜在意識にそのような予期不安を持っている人は、本人は意識しなくても、脳の中では「緊張」と同様な状態に絶えずなっているのです。ですから、脳にある「発汗中枢」は、実際にライオンに追いかけられた時の緊張と予期不安による緊張とは区別できませんので、同じように交感神経に汗をかけと指令をしてしまい手や足に本当に汗をかかせてしまいます。

 

さて、その時本人の気持ちはどうでしょうか。心の中にある「汗をかいたらどうしよう」という気持ちが、本当に現実化してしまったのですから、さあ大変です。今度は「もっとかいたらどうしよう」とますます不安になりますます緊張します。今度の緊張は本物の緊張ですから、発汗中枢はもっと多くの緊張をキャッチして、もっと多くの刺激を交感神経に与えもっと多くの汗をかかせます。
もっと多くの汗を見たり感じた本人は、今度は「汗を止めなければ」とあせります。しかし汗を止めようとする努力ほど逆効果のことはありません。

みなさんも経験があるでしょう。
夜眠れないとき、眠ろうとすればするほど目が冴えて眠れなくなる。
汗の場合でも同じです。汗は止めようと努力すればするだけ、余計汗が多く出るという性質があるのです。
その結果さらにさらに多くの汗が出てきます。

この段階ではもう猿が木から落ちないような「適度な湿り気」ではなくあなたが言うような「異常な汗」となるのです。もう冬の軒先の氷柱から水滴が落ちるような状態になることさえあります。

 

あなたはこのような氷柱状態の異常な汗を招いた直接の原因はどこにあると思いますか?

そうです。最初の段階で心にあった「予期不安」なのです。
ですから、精神性発汗の治療の第一は、この不安を取ることから始めねばなりません。

精神性発汗の治療法は多くの方法があります。これについてはこれから順次説明していくことにしましょう。

しかし、どのような治療法を選択してもある一つの重要なポイントを理解していないと絶対に失敗します。
そのポイントは、「手や足の汗を抑えることを目的にしてはいけない」ということです。精神性発汗はだれでもがする「生理的現象」です。
生理現象は抑えることはできません。おしっこをしたいとき我慢してずっと抑えることはできますか?できませんね。抑えれば抑えるほどトイレに行きたくなるでしょう。
ですから、治療の目的は「汗を減らす」ことではないのです。
それは、根本的な原因である「予期不安」をとることなのです。
ですから、心の中を「不安」の反対の状態、つまり「安心」の気持ちにもっていけばよいのです。
安心できる気持ちになることは、簡単です。汗を受け入れることです。
汗くらいイイヤという気持ちになることです。
汗を気にするなとはいいません。すでに汗で悩んでいる人に気にするなといっても無理です。
汗は気になってもよいから、汗を否定しないことです。汗くらいどうってことはないやという大きな気持ちになることです。

つまり、安心するためには、汗が減少する必要はないのです。
いっぱい汗をかいていながら、その汗の存在を認めてやれば、安心できるのです。漂流している小船のなかで、コップの水を半分飲んだとき、もう半分しかないとおもえば不安になるし、まだ半分もあると思えば安心するでしょう。要は、考え方なのです。汗が嫌なやつだとしても、それとけんかをするのでなく、うまく付き合っていくというスタンスが多汗症治療の秘訣なのです。 

「汗はおさえるべからず」これはこれから始める治療の大前提となる非常に重要なポイントですから、絶対に忘れないようにしてください。

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[監修] 五味 常明先生 五味クリニック院長
医学博士。体臭・多汗研究所設立。患者の心のケアを基本にしながら外科的手法を組み合わせる。「診療外科」を新しい医学分野として提唱。体臭・多汗治療の現場で実践。日本心療外科研究会代表。『汗をかけない人間は爬虫類化する』(祥伝社)他、著書多数。

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