腎機能と体臭の因果関係について
先生、お久しぶりです。と言っても3週間振りくらいですが。前にお話した様に、前の会社は退職し、今は新しい会社で働いています。その会社でも他の社員には「ありゃあ、ワキガだ。」と言われますが、自分では違うと分かっているので聞き流してます。終日、ニオイばかりを考えていたら仕事になんかならないですし。
また質問なのですが、私は小さい頃体質が弱く、よく風邪を引いて扁桃腺を腫らしてたのですが、そのせいでか私の母親は腎臓の機能低下を心配して薬等を私に飲ませていた様です。確かに私は多少むくみやすいし、疲れ易いので病気ほどではないにしても、腎機能は弱いと思います。 体臭の原因物質は腸内で作られ、その有害物質は肝臓、腎臓等で処理されるとも聞いたのですが、肝臓や腎臓の機能が弱く、その上でストレスが強かったりすると、体臭が強くなる可能性は高いのでしょうか。
今、私は免疫を高めるサプリメントとシャンピニオンエキスを先日から服用し始めて、体臭が確実に弱くなってきた様にに思っているのですが、先生のご判断はいかがなものでしょうか。
腎機能と体臭の因果関係について
今回は腎機能と体臭との関係にしぼってお答えします。
腎機能の低下では「たんぱく質系」のニオイとの関係があります。
食事から摂取されたたんぱく質はアミノ酸として体内に吸収され一部はアミノ基がはずされ、エネルギーに利用されます。
この時はずされたアミノ基は、毒性の強いアンモニアとなりますので生体は肝臓で毒性の比較的弱い尿素に合成して腎臓から体外に排出します。
このとき腎臓の機能が低下すると、この尿素の排泄が阻害され、血中の尿素やひいてはアンモニアの濃度が高くなり、その一部は当然汗や呼気などに分泌されるようになり体臭を強くします。
しかし、このような状態になるのは腎不全のような高度な腎機能の低下のときです。
あなたの場合にはたぶん幼児期に咽頭の溶連菌の感染が軽い急性腎炎を起したのではないでしょうか。
多少のむくみがある程度ですから体臭にまで影響するような腎機能の低下はないと思います。
しかし、糖尿病性の腎症を合併している場合にはニオイが出やすくなりますので注意が必要です。
予防としては、サプリメントもよいのですがむしろ塩分を控えめにするなどの食事療法をこころがけるべきだと思います。
医学博士。体臭・多汗研究所設立。患者の心のケアを基本にしながら外科的手法を組み合わせる。「診療外科」を新しい医学分野として提唱。体臭・多汗治療の現場で実践。日本心療外科研究会代表。『汗をかけない人間は爬虫類化する』(祥伝社)他、著書多数。

